PRODUCT TALE PROJECT

モノと物語の関係を実験するデザイン

「デザイン」、「プロダクト」は不特定多数を相手に大量生産することが多いので、一つ一つの

プロダクトには個性とか存在感はありません。経済原理で商品として競争するプロダクトは

同じような機能が同じような「顔(デザイン)」で店先に並んで、みんなそれがデザインだと思うわけです。

ところがそういうモノ=プロダクトも誰かに買われて使われるようになると、持ち主とモノの関係の中で色々な

ストーリーが生まれてきます。ちなみに、売る前(誰かの所有物になる前)の段階で「ブランド付け」

などのためになんらかのストーリーが付けられているモノもあります。主に高級品とか。

「何でできています」「どこで作られました」「有名な誰それが使っているのと同じモノです」等々。

それらは基本的に「誰かのものになる以前」の「過去の物語」が付随するのですが、それでも「モノの差別化」

として機能しています。そんなブランドとは関係なく、もしもモノに未来(あるいは、ありえない未来)の

お話が付随していたら、モノを見た人はそれをどんなふうに受け止めるか?というのがこのプロジェクトのテーマです。

「あるモノ(プロダクト)を手にすると、どんな世界(未来)に出会うか」を考えてもらう実験とも言えます。

デザインの価値/解釈を混乱させること

デザイン/デザインされたモノの意味や価値はどこからくるのでしょう?これはデザインに限らす人間の

価値解釈のメカニズムに関わる疑問です。商業デザインの最も表層的な部分だけを見れば、「売れる」

「話題になる」といったデザインの対象となるマーケットや顧客の反応から逆算して価値の判断ができ、

また価値基準を想定することで「良いデザイン」をシュミレーションすることができる(と信じられて

います)かもしれません。しかし「良いデザイン」の多くは飽きられ、時間の中で価値を失います。

本来「良いもの」という価値基準には時間の概念が含まれ、「いつまででも価値のあるモノ(価値の不変)

が重要な要素になるはずですが、商業の仕組みは不変の価値を持つモノを流通させるのではなく変化する

価値の流通(富の移動)が大原則なのですから、一般論で言う「良いモノ」とビジネスにける「良いモノ」

は別の価値尺度で測っていると考えなければ混乱してしまいます(身近な例として、あなたがモノを「売る」

ときと「買う(使う)」ときにどれだけ異なる価値尺度で「良い」という判断をしているでしょう?)。

デザインはビジネスと深く関わっていますが、人間の生活や歴史はビジネスが統べてではありませんし、

デザインもまた時間(歴史)のなかでビジネス以外の価値尺度によって評価されます。ではその「価値尺度」

はどんなものなのでしょう?私たちが「良いデザイン」と考えるモノにはなにがあるのでしょうか?

このプロジェクトでは、「良いデザインのエッセンス」を考えようとしているわけではありません。

逆に、あるモノ/デザインが「良い」と感じられるメカニズムに興味を抱きながら、私たちがモノを評価

する心の動きに関わる実験を試みています。モノの価値を考えるときに関わる「解釈」と解釈の副産物

としての物語の関係。「モノと物語」を組み合わせることでモノの解釈や価値は変化します。もっとも

身近に(コマーシャルな形で)毎日出会うのが「モノと広告」の関係ですが、これはある特定の評価を

誘発するための物語がモノ/デザインに付加されて私たちの前に現れる典型といえるでしょう。

このプロジェクトでは、逆にモノの解釈や価値を混乱させるような形でモノと物語を並列に提示する

実験をしています。提示されたモノと物語を同時に受け止めて貰うことによって、私たちがモノ/デザイン

からどんな印象を受けるか、実験を通してデザイナーはデザインの普遍的な/相対的な意味を考えます。
 2001「Tale + Light」

2002「BEHIND THE DOORS」

2003「CITY OF BOOKS」

2004「RESONANCE」

FUJITA DESIGN Lab. + 北川 茨

2005「RIFLEX」

 


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