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2003年のデザイン傾向 ミラノサローネにおいて2003年がどのようなデザインの年なのか、多様かつ巨大な規模の見本市を簡単に総括することは出来ませんが、約十年にわたる継続的なサロ−ネウォッチングの中で、リサーチャーが現場で感じた印象を資料と照らし合わせながらいくつかのキーワードで整理してみたいと思います。
「エレガントなデザイン表現へ」
1997年前後から特に目立ち始めたモノトーン・ミニマルデザインは2000年をピークにモダンインテリアデザインの定番として定着しました。一方で新しいデザインテイストに対する期待も高まっており、ここ数年のミラノでは再びカラフルな色使いが目に付くのですが、特に2003年は家具のファブリックに柄をあしらったもの、フェミニンな色使い、曲線を多用したデザインが気になりました。これらの傾向を一言で言えば、よりエレガンスを感じさせるデザインへの志向が感じられます。
「レトロモダンデザインへの共感〜モダニズム再評価」
建築からインテリア、デザインの分野では、1980年代がポストモダニズムデザインの十年だったとすれば、1990年代はハイテクノロジーとミニマルデザインが主流になったといえると思います。デザインの傾向は時代と共に社会の嗜好の変化があり、21世紀に入ってからはむしろ1960年代〜70年代に花開いたモダニズムデザインのリバイバル(再評価)が高まっているのではないでしょうか。
世界的なイームズ再評価をはじめ、近代デザインの第一世代の仕事を見直す傾向の中で、新しいデザインにも前衛的・先鋭的というよりレトロスペクティブなデザイン表現が多くなっています。
「モノトーンとカラフルコーディネートの共存期」
前項でも触れましたが、モノトーンのカラーコーディネートとミニマルデザインの組み合わせはすでに一定のスタイルとして定番化し、イタリアのトップメーカーはおろか日本の中小住宅メーカーが取り入れるまでに定着しています。一方でデザインの発信源として一流メーカーでは、すでに数年前からモノトーン・ミニマルの次のデザインテイストを模索していますが、その一つの答として、カラフルインテリアが受け入れられて始めているようです。
色の流行についてはファッション、インテリア、プロダクトなどそれぞれの分野で広範かつ計画的なリサーチや流行操作が行われており、また国や地域、文化によっても細かな傾向の違いがありますが、大きな枠組みの中では今後より明るい色使いのインテリアがモノトーンコーディネートに飽きたユーザー層に対して受け入れられていくことと考えられます。
2003年時点ではイタリアの見本市でもモノトーンとカラーの共存が見られますが、日本国内市場ではようやくモノトーン・ミニマルが市民権を得たという印象を受けるので、現在進行しているヨーロッパに於けるインテリアテイストも今後十年程度のスパンの中で(あるいはもうすこし早く)日本の住環境デザインに浸透していくのではないでしょうか。
「新素材・新技術のアプリケーション開発の必要性」
家具デザインの分野ではメーカーごとに扱う素材(木材、樹脂、金属、ファブリックなど)について研究開発が進んでいるので、メーカーごとに細かく見ていくと新技術や新しい素材の取り扱いに様々なヒントを得ることが出来ます。
一方、照明器具の分野では、近年高輝度LED(発光ダイオード)の研究開発が世界規模で進み、新時代の省エネ光源として照明器具への本格的なアプリケーション開発が検討されています。LEDの弱点である色温度と照度不足の問題は今後の研究に期待しなければなりませんが、すでに保安灯、屋外灯などについてはデザイン的にも洗練された製品が発表されており、今後は特に屋内の主照明にかわる部分でどのような可能性があるか、より多くの用途開発が求められています。その意味でも、ドイツの照明デザイナー、インゴ・マウラーによるLED照明家具(オブジェ)は、実用面での課題を多々含みながらも新光源素材を生活の中で活用するための実験として他を先んずるものがあるといえるでしょう。
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